管理組合総会「Bフレッツマンションタイプ導入に伴うIT化工事の承認について」 |
|
□2003年 3月30日開催の総会資料の概要 |
Bフレッツマンションタイプ導入に伴うIT化工事を総会で承認を得るためには、多くの住民の方が本議案の提案趣旨を十分理解されるよう以下の内容について資料を添付するなど、具体的にお知らせすることが必要であると思われます。 |
|
■なぜ、管理組合総会にかけるのか |
当マンションにおいて現状で利用可能なインターネット回線は、通常回線でのダイヤルアップ、ISDN回線、ADSL回線などがありますが、これまでは皆様とNTT東日本やインターネットサービスプロバイダとの間で自由に契約を結ぶことで利用することができました。これは、ほとんどの場合、電話局側の工事のみで利用が可能であったためです。
しかし、光ファーバーを利用したインターネット回線Bフレッツは、電話局側の工事だけでは利用できません。Bフレッツを皆様が利用するためには、当マンションの共用部分に通信設備を新たに設置しなければなりません。
したがって、このサービスを利用するためには、当マンションの共用部分に設備を設けることについての管理組合の承諾、すなわち総会での皆様の承認が必要になります。なお、新たな通信設備の設置にあたっては、設置予定箇所に電源コンセントを設ける以外はすべてNTT東日本が負担するとともに、回線利用に伴う工事費は利用者が負担する(受益者負担)こととなりますので、Bフレッツを利用される方と利用されない方とで経費負担に著しい不均衡を欠くものではありません。
|
管理組合では、Bフレッツ導入工事そのものを実施するということではなく、皆様がBフレッツ回線をすぐに利用したい、または近い将来利用したいという時のために必要な設備をNTT側で設置してもらい、利用できるような環境を整備するものです。
|
|
□Bフレッツマンションタイプ導入に伴うIT化工事とは |
Bフレッツサービスのなかにはいくつかのタイプがありますが、設備調査を行った結果、各家庭まで電話線を引き込んでいる配管以外には予備配管(空いている配管)がないため、光ファイバーを新たに各家庭まで個別に引き込むのは現状ではできない状況です。また、これを行うには、新たな配管設備が必要になるため相当高額な費用がかかります。こうしたことから、当マンションの建物までは光ファイバーを引き込み、そこから各家庭までは既存の電話配線を使用するというVDSL装置を利用したマンションタイプの導入案が最適であると考えます。
このタイプであれば、共用部分に必要な通信設備を設置してもらうだけで、高速インターネットが可能になり既存の電話回線にも影響を与えません。また、工事費も基本的に受益者負担の考え方が採用されていますので、管理組合としてはコンセント工事費以外の支出は一切ありません。
共用部分に設置するNTT設備は、B2階の電気室内(当マンションではMDF盤が電気室にある)にVDSL集合装置およびこれを収納する19インチラック(高さ1.8m 幅60cm 奥行き50cm程度)等を設置します。
ラック1台で最大192世帯まで利用できますので、当面は1台で足りると思われます。将来的には、利用者数に応じて2台の設置が必要になる場合がありますが、調査の結果、設置スペースに問題はありません。 |
Bフレッツマンションタイプ設備工事の概要へ |
|
■導入するための工事費用等について |
(1) |
当管理組合が負担する費用は、設備の運用に必要な商用電源(100V)のコンセント工事約○○円程度(1世帯当り○○円)のみで、その他一切はNTTが負担します。ラック運用のための電気代も将来にわたって利用分をNTTが負担します。 |
(2) |
インターネット回線の利用に伴う初期工事費用や機器レンタル料(VDSLアダプタ)は、Bフレッツを利用するご家庭のみが負担します。ご利用にならない方の負担はありません。 |
(3) |
インターネット回線の利用料は、Bフレッツを利用するご家庭のみが負担します。ご利用にならない方の負担はありません。 |
|
□総会決議の基本的事項 |
本議案では、以下の事項について住民の皆様からご承認をいただく必要があります。この内容は採決の際に重要な事項ですので、当管理組合では以下の基本的事項を総会決議しました。
|
(1) |
管理組合は、光ファイバーを利用した高速インターネット回線導入に際し、これに伴う設備工事を供給者(NTT東日本およびNTT東日本が委託する工事業者等)に許可する。 |
(2) |
管理組合は、上記設備の設置を共用部分に無償で設置することを承諾する。 |
(3) |
管理組合は、上記設備の運用に必要な商用電源回路(コンセント工事等)を管理組合の費用において施工する。 |
(4) |
管理組合は、将来のサービス向上ならびに上記設備の保全に関わる修繕・改修工事を供給者に許可する。供給者は、当該工事を実施する場合には、管理組合理事会に届け出て承諾を得なければならない。 |
(5) |
上記設備の運用に必要な電気使用料は、当該利用分を供給者が負担する。 |
(6) |
現状では、全世帯で利用可能な配管設備がないため、光ファイバーケーブルを直接各住戸へ引き込むことは認めないものとする。 |
(7) |
その他本件に伴う詳細事項については、理事会の決議により実施する。 |
|
■総会の議事について |
国土交通省から示されている「中高層共同住宅標準管理規約 (平成9年2月7日住宅宅地審議会答申)」では、敷地および共用部分等の変更は議決権の4分の3以上の決議を経る必要があるとしながらも、「改良を目的とし、かつ著しく多額の費用を要しないものを除く」としています(第45条第3項)。
また、管理規約もさることながら、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)では、マンション共用部分を変更する場合には、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議(特別多数決議)を経る必要があります(法第17条)。これに対して、変更にあたらない共用部分の管理に関する事項は、集会における過半数の決議(普通決議)で決することとなっています(法第18条)。
しかしながら、分譲マンションのIT化工事については、これまでそれほど多くの実施事例があるわけではありませんでしたので、IT化工事をする場合の手続きは、総会の議事にあたって、どうすればよいのかこれまでは迷うところが多かったことも事実です。
こうした中、政府は、ブロードバンドと呼ばれる高速インターネット回線の社会的需要の増大を鑑み、既存の集合住宅に関するIT化工事の実態を踏まえた区分所有法の解釈の指針を明示しました。
ここで共用部分の変更とは、「共用部分の形状または効用を著しく変えること」を意味し、共用部分へ加工を施す場合であっても、形状または効用のいずれかを著しく変えるものでない限り集会における過半数の決議で決することができ、4分の3の決議を経る必要はないという法務省民事局の考え方が平成13年12月に公表され、既存の分譲マンションのIT化工事に関する区分所有法の考え方が明確化されました。
当管理組合では、この法務省民事局の考え方にそって、Bフレッツマンションタイプ導入に伴うIT化工事の承認については総会での成立要件を普通決議(過半数)といたしました。 |
既存の分譲マンションのIT化工事に関する区分所有法の考え方(PDFファイル) |
|
<<追記>>
マンションの管理規約には、通常、専有部分および共用部分等の用法に関する定めが明示されていると思われます。ここで、総会の議事にあたって留意しなければならないことがあります。それは、「共用部分の第三者の使用」に関する内容が定められている場合です。
特に、敷地および共用部分等を「○○に無償で使用させることを承認する。」というように、「使用させることができる第三者を○○だけに限定している」ような場合には、Bフレッツ用設備等の設置にあたっては管理規約の変更をしなければならないということも考えられます。
当管理組合の規約では、「前項に掲げるもののほか、管理組合は理事会または総会の決議を経て敷地および共用部分等(駐車場および専用使用部分を除く)の一部について第三者に使用させることができる。」としています。
この定めに基づいて、「総会決議の基本的事項(2)」で掲げた採決の際に重要な事項が生きてくるわけです。
したがって、上記のような定めもなく、共用部分等を使用することができる第三者を規約によって限定しているような場合には、共用部分等の変更とは別に「規約の変更」にあたり、厳密には総会における4分の3の特別決議を経る必要が出てくると思われます。
Bフレッツ導入に際し、この辺の取扱については、管理会社等と十分ご相談されてから総会を開催された方がよいでしょう。
個人的な意見としては、居住者のニーズが高まる中で「何のための規約か?」という観点から考えると、現行規約の問題だけでBフレッツ導入に支障をきたすようなことであった場合には、とても悲しいことですね。
また、管理組合としてマンションのIT化を推進する一方で、総会での決議要件を「単にBフレッツ導入の決定のみ」とするような安易な審議内容であった場合には、後日問題を抱え込むようなことがないようにしたいものです。 |
|
□当マンション管理組合総会の議決結果 |
総会で採決を行った結果、質問もなく、賛成多数で可決されました。総会で多くの方のご承認をいただけたことは、おそらく以下の内容が大きな要因であると思われます。 |
(1) |
当マンションの場合、ブロードバンドをやりたくても現在主流のADSLが本来の効果が出せない環境であるため、住民の間で高速かつ定額制の光ファイバーを利用したBフレッツへの期待が大きかったこと。 |
(2) |
マンション構内の配線は既存の電話回線を利用するVDSL方式を採用することで、通常の電話回線に影響を与えることがないこと。 |
(3) |
Bフレッツサービスそのものが受益者負担の考え方が採用されていることで、管理組合としての負担が少なく、すぐにBフレッツを利用したい方と当面利用されない方とで、住民の経費負担に大きな不均衡がなかったこと。 |
(4) |
ベストエフォート型ではあるが、終端装置にVDSLを用いることで最大50Mbpsのブロードバンド通信が可能であり、また、プロバイダを自由に選択できるなど、インターネット愛好家が納得できる内容であったこと(HomePNA方式やプロバイダ固定のサービスと異なる点)。 |
パソコンやインターネットという言葉は近年聞き慣れてはいるものの、必ずしも住民の多くが関心を持っているわけではないことに留意する必要があると思われます。
総会に先立っては、理事会議事録や広報誌等でできるだけ内容を具体的にお知らせするなど、多くの方が提案の趣旨、内容を理解できるような工夫が必要であると考えます。 |
|
集合型終端装置を共用部分に設置することについての承諾 |
|
マンションタイプでは、共用部に集合型終端装置(VDSL)およびこれを収納するラックを設置する必要があります。管理組合総会において、承認決議後にこれらの設置についての承諾書をNTTに提出します。 |
承諾書の記載例へ |
|
Bフレッツマンションタイプ用装置に関する覚書 |
|
マンション共用部分に設置するBフレッツ用設備等について、「管理および責任の明確化」を図るため、管理組合と供給元とにおいて覚書を締結する必要があります。当マンション管理組合では、以下のような覚書を供給元である東日本電信電話株式会社と締結しました。 |
ここで「Bフレッツ用設備等」とは、東日本電信電話株式会社がIP通信網サービス約款に定めるメニュー5−2(通称Bフレッツマンションタイプ)を提供するためのBフレッツマンションタイプ用装置およびそれに付随する設備をいいます。 |
(1) |
管理組合は、マンション用設備等をNTTの費用負担で、マンション共用部分に設置することを了承することの内容 |
(2) |
管理組合またはNTTが、何らかのやむを得ない事由により、マンション用設備等を移設または撤去する必要が生じた場合の費用に関する内容 |
(3) |
管理組合は、マンション共用部分にマンション用設備等を設置するためのスペースを無償で提供することの内容 |
(4) |
管理組合は、天災等不可抗力またはビル電源設備の定期点検および故障発生等の場合を除いて、マンション用設備等に必要な電源用電力を常時供給することの内容 |
(5) |
NTTは、マンション用設備等を稼働させるために必要な電力使用料を、一定の算出基準および支払方法で管理組合に支払うことの内容 |
(6) |
管理組合は、マンション用設備等を設置するための環境条件を満足させるための電源工事等を管理組合の負担で実施することの内容 |
(7) |
マンション用設備等の工事および点検等のためのマンション共用部分への立ち入りに関する内容 |
(8) |
緊急時の連絡体制、その他に関する内容 |
|
│Home│このページのトップへ│ |