管理組合とは?自治会とは?
 ●管理組合とは?

 マンションでは、一つひとつの住戸部分はそれぞれの所有者(区分所有者)が所有します。こうした1件1件の住戸部分を「専用部分」といいます。
 専有部分は基本的にはその住戸の所有者が管理することになります。その他にみんなで使用する廊下、階段、エレベーター、建物の外壁や屋上、共用施設の駐車場、自転車駐輪場、集会室などを「共用部分」といいます。共用部分は区分所有者全員が共同で管理を行うことになります。
 そこで、共同で管理をするために、管理組合が必要になります。区分所有者が全員で管理をする組織として管理組合が必要で、管理組合には区分所有者が全員で入ることが区分所有法(この法律の正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」といいます。)により決められています。


区分所有法第3条

 区分所有者は全員で建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者をおくことができる。


 こうしてマンションを買った人は必ず管理組合に入ることになり、管理組合はマンションの共同管理になくてはならないことから、これを拒否することはできないのです。
 つまり、管理組合がなければ、共同で所有している共有部分などの使用方法を決めることや、保守点検や修繕ができません。
 また、みんなが勝手気ままに暮らし、ペットを飼って迷惑をかけたり、路上駐車をしたり、夜中に騒いだり・・・といようなことがないように、ルールをつくり、それを啓発することもマンションでは必要になります。
 このように、管理組合はマンションの管理、マンションを適正に維持管理し、そこで居住者がお互いに快適な生活をするためになくてはならないものなのです。そのために、管理組合は、法的にはつくったり、つくらなかったりするものではなく、「当然成立」といわれる自然発生的に成立することになっています。

 ●「管理組合」という名前はだれがつけたの?

 区分所有法の第3条には、「区分所有者は全員で建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し・・・」と、ありますが、管理組合という名前にしなさいということは誰もいっていません。
 そうなんです。区分所有法は俗に「マンション法」とも呼ばれていますが、この法律の条文には「マンション」とか、「管理組合」という言葉は一言も出てこないのです。区分所有法は昭和37年に施行されて以来、何度かの改正が行われていますが、この辺については実に不思議です。本当は、実質的に管理組合という中身があれば、なんと名乗ってもいいのかも知れません。もちろん管理組合という名前が多いのは事実ですが、ややこしいところでは、自治会という名称の組織で管理組合の活動をしているところもあると聞きますし、「管理自治会」と呼んでいるところもあるそうですよ。
 でも、でも・・・・・やっと「マンション」や「管理組合」という言葉が出てきました。
マンション管理の初めての法律である「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、いわゆる「マンション管理適正化法」の登場です。この法律は、平成12年12月1日に衆議院本会議で可決され、平成13年8月1日に施行されました。この法律では、区分所有法とは打ってかわって、管理組合という言葉が数え切れないくらいにたくさん出てきます。管理組合という名前は、遙か昔から定着していますが・・・やっぱり、誰がつけたかわかりません。マンション管理適正化法は国土交通大臣が告示しましたので、法的には、この法律の施行によって管理組合という名前が公式名称となったのではないでしょうか。

 ●管理組合の構成員は?

 管理組合は区分所有者により構成されています。管理組合には、マンションを買ってから、そのマンションに住まわれていない人たちもいますが、こうした「不在所有者、不在オーナー、外部所有者」といわれる人たちも管理組合の構成員です。
 ここで気をつけることは、居住者の集まりである「自治会」や「町会(または町内会)」という組織がありますが、管理組合とは性格を異にしている点に留意しましょう。自治会等は居住者が集まる任意の団体です。管理組合は、所有者が必ず全員入る団体です。この管理組合と、いわゆる町内会的な自治会とは混同しないようにしましょう。

 ●自治会とは?

 では、自治会とは何でしょうか?マンション以外にも、わが国には地域に自治会、または町内会・町会と呼ばれる組織があります。
 日本の自治会の歴史は、実は江戸時代の5人組制度まで遡るといわれています。また、さらにこの制度の起源は中国の唐の時代の「五保の制」にあるともいわれ、実に1000年もの歴史を持つことになります。
 現在では全国で、地域での親睦活動として、お祭りやイベントなどの開催、スポーツ・レクレーションの実施、文化・芸術活動、住民相互や行政との連絡、まちづくりとしての環境美化・清掃・リサイクル活動、地域の防災・安全活動、地域福祉、介護・保険・医療活動、児童・生活に対する学校教育支援、また、ボランティア組織による活動をしたり、自主防災組織を立ち上げたりと、実に様々な活動を地域に根ざして行われています。

 ●マンションにおける管理組合と自治会の関係

 管理組合は所有者の団体、自治会は居住者の団体です。マンションの場合には、すべての所有者がそこに住んでいれば、所有者すなわち居住者となりますので、この2つの団体の構成員は同じになります。
 実際に、この2つの組織はマンションによってタイプが異なるようです。管理組合とは別にマンション内で自治会をつくっている場合、管理組合の中に自治的部門を設けている場合とがあります。また、マンション内では自治会をつくらず、各自で、またはマンションとして地域の町内会に加入している場合もあります。
 当マンションでは、当初は管理組合の中に自治的部門を設けていましたが、16期以降管理組合とは分離し自治会組織をつくりました。
 管理組合と自治会では、構成員が同じのようであっても基本的には異なり、さらに管理組合は共有財産の維持のため、自治会は居住者相互の親睦のためと、目的も違います。そのため、実際には、会計上の観点からも2つに分けて運営することが望ましいと思われます。しかし、比較的規模の小さいマンションでは、2つの組織の構成員が同じであるにもかかわらず別々に組織をつくることは逆に運営上煩雑になることから、管理組合で自治会的活動も行っている場合が多いようです。

 ●管理組合と自治会は相互協力が必要

 どのような組織形態であれ、管理組合および自治会の目的が円滑に実施できることが大切です。管理組合は、共有財産の管理を基本に運営が行われ、自治会は、ごみ処理の問題や居住者間の親睦を深めるためのコミュニティ活動など、生活にかかわることを中心に行われています。
 マンションでの管理組合と自治会の役割分担は、その目的こそはハッキリしていますが、実際の活動に至っては、相互に連携し協力しあうことが最も大切なことです。また、必要に応じて管理組合と自治会との合同会議をもつことも有効です。大事なことは、私たち全員が協力して、「マンションを安心して居住できる場」とすることです。
 マンション管理を適正かつ円滑に行うための正しい知識も必要ですが、それだけでは管理は円滑には行えません。そこにマンション管理の難しさがあります。マンションが多くの人にとっての居住の場であり、かつ所有の対象物となり、そのために多くの人の合意形成を必要とするからです。そこで起こった問題を解決あるいは予防し、さらにより楽しい生活をつくり出すことも多くの人によって行われます。そのため、マンション管理には、何よりもかかわる人の相互の理解や協力が必要になります。そのための工夫を管理組合や自治会のあり方で考えていく必要があります。
Homeこのページのトップへ